やすくんのブログ

科学技術と社会、その他カルチャーなど。

倫敦留学記ー何を見てどういう世界に生きようとするのか

4月のブログさぼっていてすみません。月末は課題に追われていました。

あと、4月はマルタに旅行に行ったこと以外にとくに備忘録に残すこともなかったため、4/5月でまとめてしまおうと思って意図的に見送りました。これは戦略的なものであって決して僕の怠惰ではうわなにをするやめ

 

ということで、4/5月のハイライトです

  • すずめの戸締まりを観てきた
  • マルタ旅行とレンタカー会社とのビーフ
  • チャールズの戴冠
  • インスタント二郎という薬
  • ロンドンで初めてjob interviewを受けてインターンのオファーをもらった
  • OpenAIのCEOの話を聞きに行った

4月

すずめの戸締まりを観てきた

日本以外の公開は4/14だったようで、4/15にSouthbankのIMAXの映画館で観てきました。公開2日目で土曜日だったこともあり、割とお客さんの入りは良かったんじゃないかと思います。あんまりネタバレするのも良くないと思いますが、メインキャラが椅子になってしまった後のシュールさとかは外国人にも結構ウケていた一方、東日本大震災が主題であることを鑑みると被災者とそれ以外の地震経験者、全く地震のない地域に住んでいる人とで受け止め方が異なるだろうなと感じましたし、物語の設定を考慮すると震災で実際に親しい人を亡くした人が見ると非常に複雑な思いを抱くだろうなと思いましたね。

 

マルタ旅行とレンタカー会社とのビーフ

マルタに5日ほど行ってきました。ご飯もお酒も美味しくて海もきれいで天気にも恵まれて最高の旅でした。中でもバレッタ(マルタの首都)にあるピザ屋で食べたブッラータチーズのピザが人生で食べた中で一番美味しかったので、マルタに行く用のある人はぜひ食べてみてください。

goo.gl

マルタの路地。ほどよい生活感があって好き

 

この旅行の唯一の汚点はレンタカー会社との揉め事で、レンタカーのデポジット決済をめぐって1時間ほど口論になりました。その業者はなぜかクレカ決済しか受け付けておらず、イギリスに来てからデビットカードしか使っていなかった(そしてそれで全く問題なかった)僕と友達は大困惑。デビットカード決済であれば、業者の指定する保険に追加で加入しないといけないという謎規定を飲まざるを得ず、結局400ユーロ近く追加で支払う羽目になりました。そのうち200ポンドは返金されるはずなのですが、返金目安の日数が経過してもまだ戻ってこないため、今問い合わせをしているところです。ヨーロッパを旅行する際は変な格安業者ではなく、HertzやAvisといった名のある業者を使いましょう。

5月

チャールズの戴冠

あったね、そんなの。少なくとも僕のコースのイギリス人は全く冷めた目で見ていました。僕は記念にバッキンガム宮殿付近まで行きましたが、結局パレードを直接見ることは叶わず。いつか転売したら高値で売れることを期待して戴冠式の公式プログラムを2冊買って帰りました。

日本でどこまで報道があったのかは知りませんが、バッキンガム宮殿周辺では'Not My King'のプラカードをかかげて抗議する人たちが見られました。彼らの一部が、事前にデモの申請をしていたにも関わらず、警察に逮捕されたとかなんとかで戴冠式直後は話題になっていましたが、喉元過ぎれば熱さを忘れるというやつですね。

www.theguardian.com

インスタント二郎という薬

二郎ラーメンがどうしても食べたくなり、一日の3割くらいは二郎で頭がいっぱいになってしまったので、イギリスで二郎を作る方法を調べました。

melonpandax.hatenablog.com

 

面倒くさすぎる。手軽に二郎を食えんのか。

豚骨を煮込んでスープを作るとか製麺するとかそういった面倒くさいことはしたくないけど二郎は食べたいというランプの魔人に言ったら怒られそうな願いを叶えてくれるものはないかと思いYoutubeを眺めていたところついに発見。

youtu.be

リュウジさんありがとう。袋麺で二郎っぽいものを作ってみることにしました。

(袋麺で二郎とか認めん。オーションを用意しろという方は口を挟まないでください)

見た目は完全に二郎。食べごたえもあって◎

反省点はチャーシューに味が染みていなかったこと。次回は半日肉を漬け込んでからやります。これが1杯あたり5ポンド弱で作れるのはとても大きい。

ロンドンのインターンシップについて

色々ありロンドン就職は難しそうなのですが(就職しても1人で生計を立てられるほどのお金を稼ぐのが難しい)、2週間ほど元々の第一志望だった企業でインターンシップの機会をいただけることになりました。7月末ごろから受け入れてもらえないか交渉中です。ロンドンでインターンをやる機会はたぶん人生で二度とないのでめっちゃ楽しんでこようと思います。

その企業は主にクライアントの危機対応(IRとかPRとかクライシスコミュニケーションとか諸々)のコンサルティングをやっている企業で、日本ではあまりそうした企業を目にしないため、今回インターンの機会をもらえたのはとてもありがたいことだなと感じています。2, 3年職務経験積んだら中途採用でジョインを狙うかもしれないので、職場の雰囲気等も含めて色々学びたい所存。

OpenAIのCEOがUCLに来た話

www.ucl.ac.uk

ChatGPTやDALLE2でおなじみのOpenAIのCEO Sam AltmanがUCLに来るということで講演を聞きに行ってきました。トーク内容は以下のようなものでした。

  • Samがこれまで訪れてきた国々の反響(EUとGlobal Southでどのようにテクノロジーの受け止め方が異なったのか。GSの方がhealthやinnovationといった直接的に社会に影響の大きい分野の関心が高かったとかなんとか)
  • GPT-5の開発の現状。お察しの通り時間はかかるだろうとのこと。LLMがもたらす"the next paradigm"がどのようなものであるかに関心があるらしい
  • ChatGPTとmisinformation/disinformationの関係性。結局ユーザーの使い方次第であると言っていて、この回答には随分モヤモヤした。開発者の責任については言及がなかったように記憶している。
  • AI規制とテクノロジーの発展について。陳腐な回答だが、バランスが重要だろうとのこと。
  • APIやthird-partyに関するOpenAIの戦略について。特にこれらを規制することなく、一緒に分野を盛り上げていきたい。

講演後に同じ学科(STS)の同期とビール飲みながら感想戦やってたのですが、「退屈だった」「モデレーターが現状追認ばかりで全く批判的でなかった」「Samの言いたいことを言って、かつUCLというグローバルで名声のある大学で講演をしたという実績作りにはなった。強かだと思う」「UCLの方もSamを連れてくることが対外アピールになったのではないか」などなど批判的な意見が出ました。僕も全くその通りだと思います。フロアの席の1/3は関係者席で予め埋められていましたし、パネルディスカッションの際の質問の8割は関係者席からのもので、非常に「答えやすい」質問ばかりでした。一部答えづらそうな質問もあり、「社会はテクノロジーを正しく使ってくれると信じているか?」という質問は面白いなと感じました。彼の返答は"I am very optimistic"だったように思います(うろ覚え)。ただ、全体としては用意されたシナリオを淡々とこなしていくイベントに過ぎないように思えました。まあ、話聞けただけでもありがたいわけですが。

講演後にフロアの質問に応じるSam(中央右)。
質問できたのは一部の関係者だけだったと思うが。

Samの講演のときには、会場の外で生成系AIの開発に抗議する人たちが集まり、シュプレヒコールを上げていました。彼らの配布したビラには「誰の利益のために生成系AIは開発されているのか?」「すべての人類の利益になるシステムを作ると言っておきながら、ケニア人の労働者を時給2ドルでこきつかい、なおかつ児童ポルノや獣姦、殺人、自殺、拷問、自傷、近親相姦といった状況を描写したコンテンツに晒したではないか」「なぜトレーニングデータを公開しようとしないのか?自分の個人データが使われていないと確かめられるのか?」などなど多岐にわたる論点が載せられていました。

time.com

こうした批判の中には、エンジニアや研究者から見るとちゃんちゃらおかしいものも混じっているのかもしれません(僕は詳しくわからないのですが)。ですが、抗議の声を上げる人びとにとっては非常に重要な論点であり、それを「取るに足りないもの」として一笑に伏すこともできましょうし、全く無視することもできるでしょう。「テクノロジーの進歩を妨げる愚か者である」というふうに言うこともできるでしょう。実際にOpenAIの人たちがそう思っているかどうかはわかりませんし、エンジニアや研究者が全くのテクノロジー礼賛でsolutionism的思考に陥っていると言いたいわけでもありません。この点は強調しておきます。しかし、テクノロジーの開発や支援において、誰の利益が優先されるのか、利益に優先順位をつけられる人たちはテクノロジーや社会に何を見ているのか、テクノロジーが社会にどういった望ましい影響と悪しき影響をもたらしうるのかというトピックは非常に重要なものだと僕は考えていますし、ときにそうした点は曖昧になりがちなのではないかと危惧しています。すべての批判に応えることは難しくとも、せめてこうした問いに対してどのような解を与えうるのか、そして今後どのように向き合い続けていくのかという点について、開発する人たち・政府を含めて支援する人たちはより明確な答えを与えることが必要なんじゃないかと思っています。じゃあどうやって開発の現場と折り合いをつけていくのか?という点については…あと数年で暫定解を見つけたいところです。少し前に誰かに言った気がしますが、「社会における別解をデザインしたい」という自分の思いはこういった部分に表れているように感じます。

 

余談;現実における別解を探す話で言えば、サマータイムレンダというアニメがとても面白かったのでお時間ある際に見てみてください。タイムリープ×サスペンスって感じです。

summertime-anime.com

なんだかんだロンドン生活もあと3ヶ月で終わりそう。Dissertationと格闘しながら、楽しくやっていきましょう。日本に帰ったらみなさんまたよろしくお願いします。

最後はイギリス伝統料理、うなぎのゼリー。飯テロ。

 

倫敦留学記ー地に落ちたモチベーション

月例のブログです。表題にある通り、色々愚にもつかないことを考えていたらブログを更新する気にもなれず、かつ課題でまあまあ忙しいこともあってずっと放置していました。

3月のハイライトは

  1. 祝:Term2終了〜二度とコースワークやりたくない〜
  2. 一応就職の内定をいただきました(24卒)
  3. ベルリンとアイスランドに行ってきました

祝:Term2終了〜二度とコースワークやりたくない〜

UCLでのTerm2が終わり、コースワークが全て終了しました。この後はdissertationを書くだけになりました。STSの基礎を学びつつ、科学技術政策についても少し学ぶいい機会ではありましたが、2時間ずっと話を聞くだけ(で一部スライドをただただ読み上げるだけの)授業・中途半端なワークのセミナーに正直辟易していました。学ばせてもらっている中でこんなことを言うのは申し訳ないのですが、Term2の最後のあたりはかなりしんどくてほとんど授業に身が入りませんでした。もう二度とコースワークをやりたくありません。またUCLに戻ってきたいという気持ちは1nmもないのですが、仮に戻ってくるとしてもPh.D.など研究メインの方が適性あるような気がしています(余談ですが、今所属しているSTSのDepartmentには心底失望したので、UCL STSに戻ってくることはないです)。

これは個人的な合う合わないの話で、UCLが一概にどうとか言うつもりは毛頭ないことをご留意ください。ただ、僕は東大の後期課程や学際情報学府でやっていたような、担当者がレジュメを切って発表し、質疑応答を含めたディスカッションを行う形式の授業の方が好きだったみたいです。

一応就職の内定をいただきました(24卒)

2月の後半から少し就活をやっていて、3月の初旬に日本の某コンサルティングファームからオファーをいただきました。Public Affairsにも関われそうなポジションなので大変魅力的なのですが、先に話を聞いていたイギリスのコンサルティングファームのロンドン・東京オフィスの選考を受けた上で受諾するかどうかを決めようと思っています。ロンドンオフィスの選考は今準備中で、こちらもうまくいくことを願っています。

サクラサク。ロンドンでも桜が満開を迎えていました。

ベルリンとアイスランドに行ってきました

3月の初旬にベルリンへコーヒーを飲みに、下旬にアイスランドへオーロラを見に行ってきました。ベルリンはひたすらコーヒーを飲み続けてグロッキーになっていたくらいで特にお伝えすることはないのですが、アイスランドは風光明媚、本当に訪れる価値のある国だなと感じました。奇跡的に初日にオーロラを観測することができ、星空も眺めつつ夜のドライブを楽しんでいました。アイスランドレイキャビク以外にほとんど人が住んでおらず、少し郊外に車を走らせるだけで満天の星空を眺めることができます。交通量も皆無だったため、路肩に車を停めて道路に仰向けになり、無数の星々を眺めることができました。ご飯も美味しいところなので、ぜひ行く機会を設けてみてもらえればと思います。

アイスランドの道路と雪山。ベストショットです

初日の夜に見たオーロラ。iPhone13でもこれくらいの写真が撮れることに驚き。

おわりに

楽しいことも多い一方、先述の理由で気持ちが沈むことも多い1ヶ月でした。3月〜今が留学始まってから一番しんどい時期なんじゃないかなと思っています。とはいえ、気に病んでも仕方のないことも多いですし、進路もうまくつかめるように努力しつつ、ぼちぼちやっていくしかないみたいです。それでは。

倫敦留学記ー寒気に包まれた温かい季節

どうも、やすくんです。

毎月恒例の振り返りブログになります。2月のハイライトは

  1. 旧交を温める肌寒い季節
  2. 誕生日とほろ苦く激甘い24歳の幕開け
  3. アメフトのルールを調べながらスーパーボウル観戦
  4. 進路に惑う月

それでは淡々とまとめていきます。

旧交を温める肌寒い季節

2月は日本にいたときに親交のあった人たちと顔を合わせる機会の多い月でした。

東大にいたときに関わりのあった先生経由で知り合ったUCL卒の学生とロンドンで再会したり、サークルの後輩がロンドンに遊びに来たり、東京で足繁く通っていたバーのバーテンダーがポップアップバーを開いてそこを訪れてみたりと。多くの知人友人と話すことができ、ロンドンで寂しさに震えていた僕の心はいくぶんか温められたように思います。ちなみにこのブログを書きだした日も大学時代の友人に会い、この週末も後輩2人と再会する予定。みんなロンドン来すぎなのよ…べっ別に嬉しくなんかないんだからねっ!まあそれはさておき、そのほかにも日本にいる友人とも久しぶりに電話をして色々近況を聞けて嬉しかったです。

知り合いのバーテンダーの方がロンドンで開いていたポップアップバーにも行きました。

これは後々の話題ともつながるのですが、大学の頃から知っていた人たちが社会人になり、思い思いに仕事をして、人によっては次のキャリアを考えている様子を目の当たりにすると、自分もどういうふうにキャリアを築いていこうか考えるきっかけになってありがたいなと。普段から考えてはいるものの、ちょっと言葉にしてみると意外と「ここ詰めきれてないな」とか発見があるものですね。

 

誕生日とほろ苦く激甘い24歳の幕開け

たまたま僕の誕生日と仲の良いコースメイト(しかも同じ敷地にある寮にいる)の誕生日が1日違いであることが発覚し、共通の友人を呼んで2人の誕生日パーティを開くことにしました。Kentish townのよくいく酒屋からナチュールワインを買ってきて、誕生日ケーキも用意して楽しい夜を過ごすはずだったのですが、ワインだけでなく友人の持参したビール等も飲んでいると完全に悪酔いしてしまい、誕生日のパートナーは白く冷たい便器になってしまいました。ワインは好きなのですが非常に悪酔いしやすいので気をつけなければ…と毎度思っています(が過ちを繰り返している)。

戦犯。左はEast Sussexで作られたワインらしい。地球温暖化の影響でイギリスでもワイン製造が始まっているそうで。

そんなこんなで酔いつぶれて誕生日にはケーキにありつけなかったのですが、この愚か者のために友人たちは翌日までケーキを残しておいてくれました。ただ、これがクソ甘い。くっっっっっそ甘い。1日の糖質これ1片っていうくらいの甘さでまた気持ち悪くなり、ちまちまと食べざるを得なくなりました。昔、英会話のイギリス人講師が「イギリスのケーキは甘すぎる。日本のケーキの方が断然美味い」みたいなことを言っていたのですがそれを痛感しました。てかイギリス人にまで甘すぎると言われるイギリスのケーキ、何。

 

余談1: 来年はどこで誕生日を迎えているのかわかりませんが、自分の誕生日前後で知人友人を呼んで毎年パーティーをやろうと思いました。僕の誕生日を祝うのが目的ではなく、久々に会いたい人たちに声をかける良い機会にできたらなと。これから仕事とか家庭とかで自分の生活に手一杯になっていき、友人たちと疎遠になると思うのですが、そうした関係性を繋ぎ止めるための機会であれたらよいなと思います。こんなことを考え出すようになったのは歳のせいでしょうか。

アメフトのルールを調べながらスーパーボウル観戦

2月といえばアメリカ人が必ず観る(らしい)スーパーボウルが開催される時期です。スーパーボウルについてはWikipedia先生に聞いてください。僕は野球の日本シリーズみたいなもんだと勝手に思ってます。

ja.wikipedia.org

うちのコースはアメリカ人がまあまあいて、彼女ら彼らがUCLのバーのライブビューイングで観戦するというのでついていきました。アメフトのルール知らなかったけど。たぶんライブビューイングに来ていた人でアメフトのルールを調べていたのは僕だけなんじゃないでしょうか。アイシールド21を幼少期に履修しなかったことを後悔しました。アイシールド21を知らない人は…世代が違いますね。

 

ライブビューイングに来たものの1つ問題が発生。コースメイトが応援していたのはカンザスシティのチームだったのですが、そこに集まっていた人の7割近くは対戦相手のフィラデルフィアのチームのファン。カンザスシティのチームが好プレーをするとブーイングが湧き、失策すると大勢が歓喜に湧くという完全アウェイ状態だったのです。僕は関係ないけど。結局、途中からアメリカ人のコースメイトの家に移動してそこのテレビで観戦することになりました。結果としてカンザスシティのチームが勝ったので全て丸く収まったという次第。

余談2: その集まりにコースメイトの1人が持ってきていたコーンディップがあまりにも美味しかったので今度自分で作ってみようと思いました。どうやらTEX-MEX(テキサス・メキシコの料理)のようでした。

www.wellplated.com

進路に惑う月

この2月からいよいよ就職活動が始まり、ロンドンのコンサルティングファームに話を聞きに行ったり、東京のコンサルティングファームの選考を受けたりと自分がどういうふうにファーストキャリアを踏み出すかをより一層考えるようになりました。業界はPR・PA(とその隣接業界)で探しており、28歳くらいでセカンドキャリアを歩むと仮定してそこで大きくレバレッジが効くような場所に進みたいなと考えています。僕の場合、業界や学問領域(STS)から自分のキャリアを眺めていて、特段「このイシューに取り組んでみたい」という強い思いがないと思っています。メタバースとか(卒論でやったけど)ゲノム編集とか、どれも多少面白そうではあるが一時の興味に過ぎないだろうなと。

ジェンダー平等や昨今話題のセクシュアルマイノリティの権利保護についてはコミットしたいと思っているものの、自分がどれほど強くそれらを考えているのかについては懐疑的になることもしばしばあります)

ただおそらく、どのキャリアを歩むにしても通底する部分はあると思うようになってきており、それは「社会における別解を考えたい/デザインしたい」という考えなのかもしれないなと。最近話題になっている渋谷区幡ヶ谷の公園のトイレのデザインを例に出してみます。

www.city.shibuya.tokyo.jp

 

これは元あった男性・女性用トイレを改修して、セクシュアリティに関係なく使いやすい多目的トイレと男性用トイレ(小便器)にデザインしなおしたという話でした。Twitterで物議を醸したのは以下のツイートがきっかけだったと僕は理解しています。

これに対して、「なぜ男性用トイレだけ残すのか」「防犯も考えて女性用トイレも残すべきではないか」「デザインに関わっているのは男性ばかりで女性の声が取り入れられていない」といった意見やトランス問題で(悲しくも)定番になってしまったバックラッシュが寄せられていました。一方、上記の渋谷区のリンクをお読みいただければと思いますが、渋谷区は「渋谷区として女性トイレを無くす方向性」はないと明らかにしており、意見の相違が見られます。

 

で、これがどう「社会における別解」と絡んでくるのかという話に戻ります。セクシュアルマイノリティの権利保護を行っていくうえで、本当に現状のアプローチは最適なのだろうか、見過ごされている部分はないのだろうか、今まで提唱されてきた理念等を参照すると今後の取組みはどう変わるのだろうか…といった問いを考えていくことが社会における別解のデザインにつながってくると僕は思っています。今ある選択肢や方針の中から最短で当座の解決策を得るのではなく、一旦そのあたりをかなぐり捨てて解決策を考えていく。そうする中で今は見過ごされている「別解」が見えてくるのかもしれないと僕は考えており、こうした考えはSTSに面白さを見出したときの高揚感にも通ずるものだなと思いました。

ただこれが非常〜〜〜〜に難しいことは承知しているつもりです。ただ、そういったことをできるポジションにゆくゆくは就きたいと思っており、特定の事業と社会の関わり・その打ち出し方を学ぶべくまずPRやPAの領域に足を踏み入れようと思っています。業界の素養も身につけつつ、セカンドキャリアでは自らが責任を持って社会に問題提起を行ったりともに考える姿勢を見せられたらなと。そういったことを学ぶためのファーストキャリアはロンドンの企業がよいのか東京の企業がよいのか、はたまたPR/PAとは違う領域がよいのか…まだもう少し頭を悩ませる日々は続きそうです。

倫敦留学記ー初めてのパリはプライドの香りがした

こんにちは。やすくんです。

月例の留学ブログというかもはや備忘録に近い書き物をやっていきます。

1月のハイライトはこんな感じ。

  1. バカ締切に追われる年始
  2. 初めてのパリ旅行でいけすかないフランス人に遭遇
  3. ペルー中華の味を知る
  4. スマホを失くしかけてロンドンの優しさを知る
  5. 頻発するストライキに苛立つ月末

バカ締切に追われる年始

年始は学期末の課題をこなすので手一杯でした。数千wordsのエッセイを何本か書かなければならず、それ以外に手を回している余裕など一切ありません。年越しをTrafalger squareでむかえ、sohoで新年の酒を流し込んで新年祝いは大方終了。あとはひたすら課題の進捗を生む日々でした。課題はSTSの概論的な授業、Responsible Innovationに関する授業、Decolonisationに関する授業、Public Engagementの授業で1つずつ課されており、進化論と明治期の神道との関係性、Collingridgeのジレンマが日本のゲノム編集食品のガバナンスに与える示唆、バッテリーのサプライチェーンにおける植民地主義的構造、人種マイノリティのメンタルヘルスに関するシチズンサイエンスプロジェクトの設計といったテーマをそれぞれ取り扱っていました。テーマがてんでばらばらなので、あっちいったりこっちいったりを繰り返しつつなんとか乗り切ったという感じでした。たぶん課題にあんなに追われたのは人生で初めてかもしれない。

年越し後のLondon Eye。だいたい深夜2時くらい。

初めてのパリ旅行でいけすかないフランス人に遭遇

課題を終えた息抜きにパリへ行ってきました。ロンドンからパリはバスも出ているしユーロスターでも行けるしと非常にアクセスがよく、東京から大阪に行くのと大差ないなと感じました。この旅行の目的は2つあって、

  1. DanicoとLittle Red Doorという世界のバーランキングBest Bar 50の常連のバーに行くこと
  2. クリュニー中世美術館で「貴婦人と一角獣」を見ること

でした。まさかこの旅の途中でいけすかないフランス人に遭遇するとはつゆ知らず出発。

パリに到着してまずクリュニー中世美術館に向かい、「貴婦人と一角獣」を見に行くことに。この絵は「機動戦士ガンダムUCユニコーン)」に出てくる絵でもあり、アニメを見ていたときからいつか現物を見たいと思っていました。ついに実現。中世美術館はそのほかにも「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」なども展示しており、世界史好きにはたまらない場所でした。

貴婦人と一角獣」。見た瞬間「私のたった一つの望み。可能性の獣。希望の象徴。」っていう
バナージのセリフが脳内再生された。

そのほかにもルーブル美術館パンテオンコンシェルジュリーや凱旋門等々パリの有名な観光地をめぐり、パリに留学している後輩にも会って、上記のバーにも行けて楽しい旅でした。

Danicoにて。インドネシアのコーヒーの話をしていたらインドネシア人だと思われた。

で、ここからが本題。日本にいたときから「フランス人は英語を話さない」という噂は耳にしていたものの、グローバル化と英語覇権主義が跋扈するこの世の中で「まさか実情は違うだろう」と思っていました。実際に目の当たりにするまでは。

Case1: 某駅の駅員

パリの地下鉄やバスの切符が磁気に弱すぎるのですが、20ユーロ近く払って購入した周遊パスがクレカの磁気によってお陀仏になってしまいました。これでは改札も通れず地下鉄に乗れません。そこで僕は駅員に確認をお願いすることにしました。

僕:Could you check my ticket...

駅員:Bonjour.

こっちが話してるのにいきなりBonjourで割り込んでこられました。

僕:Sorry, I can't speak French...

駅員:(英語で)You're in France. You should start from "Bonjour."

脳内これ。

は?お前なんなん?って思いましたね(向こうもそう思ってるだろうけど)。マジで"What the f**k"って言いかけたけれど、言い直さないと取り合ってくれなさそうなので仕方なく"Bonjour"と言い、切符を確認してもらいました。「これがフランス人か」と思いました。

Case2: コンシェルジュリーの手荷物確認のおばちゃん

この人はこちらが英語で話しかけても全部フランス語で返してきました。知るか。

Case3: ブーランジェリーのおばちゃん

パン・オ・ショコラをくださいと英語で言ったら、"Ce sont Pain au Chocolat."と言われ、言い直せと無言の圧力を加えてきました。言わない限り取ってくれそうにないので言い直しました。

 

この話をイギリス人のコースメイトにしたら「まあ彼らはフランス語に誇りを持ってるからね。それは普通だよ」と言われました。郷に入っては郷に従えというやつですね。今度はフランス人にフランス語で嫌味を言えるくらいにはフランス語を勉強しておこうと思います。

 

余談:僕が取ったAirbnbはLe Chapelleという駅の近くだったのですがかなり治安の悪いエリアでした。なんか怪しげなビニール袋を持った人たちがストリートにわんさか立っていて、大量のユーロ紙幣を数えていたり、ゴミ箱に向かって立ちションしている人がいたりとなかなかカオスなところです。チェックインのときはモンマルトルの方から歩いていたのですが、明らかに「あ、ゾーンに入ったな」という確信を持てるほど異様な区域でした。宿代は当然安いのですが、万人におすすめできるところではないなと思います。

肉のタルタルが美味しかった。Le Wepler、いいレストランです。

ペルー中華の味を知る

今月もGenさんのYoutubeを見ていたら、ペルー中華なる面白そうな食べ物に遭遇し自分で作ってみることにしました。


www.youtube.com

インディカ米を食べるうえで1番うまい食べ方だと思います。マジで。冗談抜きで。

Arrons Chaufaという料理で、手前味噌ですが僕は作るのめちゃくちゃ上手いと思います。米を食べるという次元じゃなくて、「米を飲める」ものを作れます。実質合法ドラッグ

お手軽に精製できる合法ドラッグ

2日分作ったんですが、5分で全部食べてしまいました。日本に帰ったらペルー料理とペルーコーヒーを振る舞う企画でもやりましょうかね。

スマホを失くしかけてロンドンの優しさを知る

先日大学から帰る途中にスマホを落としました。Airpodsで音楽を聴きながらチャリをこいでたのですが(日本ならアウトだけどイギリスでは何も言われない)、ある交差点をすぎたあたりで曲が止まり、何も聞こえなくなりました。「あれ、おかしいな」と思ってAirpodsをいじってみるものの曲は始まらず、上着のポケットをガサゴソしてスマホがないことが発覚。刹那肝に大寒波が到来しました。

ガクブルしながら大学に戻り、持っていたiPadをつないでFind My機能を使い、iPhoneの現在地を探す。悪意のある人間に持ち去られていたらもうどうしようもない、あと3年分割払い残ってるのに…てか日本で買ったスマホをイギリスでなくしたらどうなるんだ?とか色々な思いが胸に去来しました。とりあえずLost modeに設定し、僕のiPhoneの電話番号を取得主が確認できるようにしました。そして、iPhoneのある位置まで行ってみるものの一向に見当たらない。音を鳴らしてみるものの手応えがない。「終わった…」と思っていた矢先、知らない番号から「あなたのiPhoneを〇〇というジムで預かってるよ。✗✗というレストランの隣にあるから回収しに来てね」とiPadにSMSが届き、無事回収成功。いやほんと取得主の人、ジムの人ありがとうございました。二度目はないと思うので今まで以上に厳重管理してます。

頻発するストライキに苛立つ月末

UCU(大学教員の労働組合)は2月, 3月に18日間のストライキを決行すると宣言し、さっそく2/1にストライキをやっています。うん。大学教員の給料はなぜか下がっていて、インフレも加速しているから生活しんどいよね。給料は上がってほしい。でもさすがに18日はやりすぎじゃない?こっちはいくら授業料払ってるか知ってる?

このストライキのせいでおそらく複数回授業がなくなるわけで、さすがに何かしらの補填はしろよと思い続けていますし、ストライキで失われる機会の補填や返金に関する署名にも参加しました。日本の大学の授業料であれば話は違ったかもしれませんが、ここまで金を払っているんだからちゃんとその金に見合うサービスを提供しろよと思っています(この点で残念な教員はまあまあ多い気がする)。UCLに対するヘイトを書き出すと止まらないのでこのあたりで止めます。いつかこのヘイトを肴に酒を飲みましょう。

おわりに

2/9で24歳になるので祝ってください。帰国後でも誕生日プレゼントは受け付けておりますので、何卒お気持ちのほどをいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

イェーイ

というのは半分冗談で(プレゼントくれたら嬉しいけども)、来月で24歳なんだなと再確認しました。あまり年を意識する機会がなく、自分が23歳であることを忘れていました。僕は年を重ねるほど(色々)いい感じになっていくと勝手に思っているので、また新たな年を重ねられることに喜びしかありません。もう24歳とか言って「老いた〜」とか言う人たまにいますけど、それ自分より年上の人全員に対する宣戦布告だからやめたほうがいいですよ。

24歳の抱負はありますけど別に人にひけらかすものでもないので書きません。なんかそれっぽい目標を書いて「すごいね」とか言っていただく時間が(今は)一番いらない。それより抱負にコミットしろよって話なので、粛々と自分の理想に向けて邁進するのみ。

誕生日祝いに買うスニーカーに頭を悩ませつつ、今月はここいらで失礼させてもらいます。

 

倫敦留学記ーゆく年くる年ー

どうもやすくんです。12月の留学の記録です。

今月のハイライトは以下の4本です。

  • やけに自炊に凝っていた
  • エッセイの点数が帰ってきて一喜一憂していた
  • ノルウェーデンマークに旅行にいった
  • 大学院卒業後の次のステップがよりクリアになってきた

自炊

深夜2時。僕がだいたい床につく時間だが、ほぼ毎日欠かさず見るYoutubeのチャンネルがある。Genさんの文庫食堂だ。


www.youtube.com

ロンドンで入手困難な食材をふんだんに使い、日本食を仕上げていく様子を小腹のすく深夜2時に観るという艱難辛苦、ああ僕を玉にしてくれることだろう。

言葉遊びはこれくらいにするとしよう。Genさんの動画に触発されてビーフシチュー、おでんを作り、そのうえさらにどて焼きまで作ってしまった。幼い頃から慣れ親しんだお好み焼き屋のどて焼きの味を思い出すという禁忌に手を染めてしまったのだった。同じ寮の日本人学生を呼んできて鍋(というかフライパン)を囲んだ。

余談1: おでんはかつおぶしと昆布からちゃんと出汁をとるなどめちゃくちゃ手間をかけたのだが、その結果1回の費用が20£くらいになってしまった。あまりにもコスパが悪すぎる。日本にいる皆さんにはコンビニエンスストアでおでんをいつでも食べられるという特権を再確認してもらいたい。あと練りからしなんて贅沢品はロンドンにはない。誰かめちゃくちゃうまい練りからしを恵んでくれ。

謎に尖り始めた僕の自炊意欲はとどまるところを知らず、クリスマスにはノルウェーのクリスマスローストポークのほか、ウフマヨ、ローストビーフ、クリームパスタ、野菜のソテーなど5品コースをこしらえてしまった。Kentish townにあるナチュラルワインのお店から白と赤のナチュラルワインを調達してこれまた寮の友達と食べた。これ以上に楽しいクリスマスがあるものか。なお、ノルウェーローストポークはマジでうまかったので日本に帰国したのちも毎年作ろうと思う。クリスマスにホームパーティができるよう、デカいアパートの1室を借りる予定なのでみんな来てください。

ノルウェーローストポーク。刃が通らないくらい皮が硬い。

12/25のクリスマスディナー。6人で食べたけど余った。

エッセイの点数

一番最初に返却されたエッセイには、東大で見たこともないような点数がつけられていた。初見では、某ドルゴルスレン・ダグワドルジ氏のように「アホ○ね」と言いそうになったが、そこはぐっとこらえて律儀にフィードバックを読んだ。自分のエッセイの欠点と改善の方向性が事細かに記載されており、非常に有益だったと思う。「アホ○ね」は自分に向けるべき言葉だった。

二番目に返却されたエッセイの点数は満足のいくものではなかったが悪いものでもなかった。このエッセイの採点者は"mean marker"(すなわち点をくれない人)として非常に有名であり、返却前は自分のエッセイがfailしていないかとてもビクビクしていた。

このブログを書いている年末も複数のエッセイとグループワークに翻弄されているわけだが、引き続き課題点とにらめっこしながらハードワークしていくしかない。今書いているエッセイのテーマはなかなかに面白いと思っているので、来月にでも紹介できればと思います。

 

ノルウェーデンマーク旅行

12/17~22の5日間でノルウェーオスロ)とデンマークコペンハーゲン)に行った。

オスロに着いて真っ先に立ち寄ったfuglen oslo

いやあ最っ高でしたね。コーヒーに色々救われてからずっと行きたかった浅煎りカルチャーの本家本元、オスロ。fuglenのみならずTim WendelboeやらMoccaやらjavaやらもう本当に…言葉になりません。ここらへんでやめます(書くのが面倒くさいとかそういうわけじゃないんだからね)。

オスロで一番良かった雪だるま。so fancy

オスロの夕暮れ。15:00過ぎ。

ただオスロの欠点は物価の高さ。オスロ中央駅についてコンビニでブリトーと水を買ったら10£した。決して日本円に換算してはいけない。ちゃんとレストランに行くとだいたい25~30£した。決して日本円に換算してはいけない。

続いてコペンハーゲンだが、2日間しかいなかったうえにろくに観光地を調べずに行ってしまった。ひたすらコーヒーを飲んでばかりいた。

コペンハーゲンで一番最初に行ったCoffee Collective。

途中立ち寄ったAprilというコーヒー店では以前fuglen coffee roasters(登戸)で働いていた人に出会った。その後に行ったPrologというコーヒー店でも、福岡でバリスタをやっていた人に会った。合縁奇縁とはまさにこのことだろうか。

そしてやはりコペンハーゲンも物価が高かった。

 

ゆく年くる年

来年はちょっと大きめの挑戦をやってみようかと思っています。ノーリスクでできる最後のチャンスかもしれないし。続報をお待ちいただければと思います。

たぶん思い悩むだろうし、挫折しかける時もあると思いますが、「やれるよ」「いけるんじゃない」と(お世辞でも構わないので)言っていただければ幸いです。あと卑屈になったり冷笑スイッチ入っていたりしたら顔面を引っ叩いてください。

それでは皆さん良いお年を。そして来年も良い1年になりますよう。

引き続きよろしくお願いします。

 

倫敦留学記ー酒と音楽とコーヒーと体調不良ー

どうもお久しぶりです。やすはるです。

1ヶ月ごとに留学の記録を残そうと思っていたら11月の終わりに差し掛かってしまいました。定期的にブログを書くということは僕にとって非常に困難なようです。

9月半ばにイギリスに到着してからはや2ヶ月半。イギリスの修士課程は1年間しかないことを考慮すると5分の1は終了したわけです。早くね?

定期的に記録を「きちんと」残そうとするのは難しそうなわけですが、とはいえこのまま何も記録を残さずに留学が終わっていくのも嫌なので、見て聴いて触れて食べて感じたことを簡単に残していければと思います。

9月

まずは9月半ばの話から。寮の部屋が使えるようになるまで10日ほどあったため、在英の日本人の方の家に泊めさせてもらっていました。BBC等が報道している通り、イギリスの生活費(とくに光熱費)が急上昇したせいでairbnbの価格も高騰し、airbnbで滞在先を探すなら10日で10万円は下らないという状況になってしまいました。さすがに高すぎると思った僕はairbnbの代わりにmixbという在英日本人の掲示板を使って滞在先を探しました。

uk.mixb.net

もしイギリスに数日〜1, 2ヶ月滞在する予定があって、宿泊費を抑えたいという方がいればMixBを使ってみることをおすすめしたいです。ユーザーの良し悪しはあるかもしれませんが、悪質なscam等を回避できる可能性は比較的高いのではないかと思います。また、主に日本人が掲載している情報で、bookingのやり取りもすべて日本語で行えるためラクに進めることができました。

そんなこんなで最初に滞在したのはUxbridge近辺の日本人の方のお家。UxbridgeはMetropolitan LineというUnderground(地下鉄)の終点で、Zone6に当たります。イギリス中心部から距離はあるものの、片道40~1時間程度の移動を許容できるなら良い滞在先だと思います。こぢんまりしていて雰囲気のよい街でした。

 

滞在先近くの川の写真。水がとても綺麗。ロンドン中心部とは大違い。

SOASのキャンパスにあったエリザベス2世追悼の落書き

10日ほどお世話になった後、大学の寮に移動しました。ロンドンの家賃相場を考えると破格の値段で中心部に住むことができています。とはいえ、reception(寮の管理者みたいなもの)の対応やcentral heatingの問題やネズミ・シロアリ等の問題もあり、これらは家賃とトレードオフだなと思っています。

余談1: ちなみに僕のフラットのキッチンの換気扇はぶっ壊れていて未だに直っていません。僕含め同じフラットの人たちと10回以上は苦情を入れにいったものの対応なし。クソですね。

 

そして大学の寮に移動して3日で体調を崩しました。今思えばコロナだったのかもしれませんが、真相はわかりません(GPの登録が済んでいなくて受診できなかった)。日本から持参した解熱剤を飲んでなんとか回復。僕の周りにいる日本人は到着後1ヶ月以内に何かしら体調を崩しているようなので、今後渡英される方は乾燥対策・防寒等お気をつけください。

余談2: イギリスの水道水で顔を洗うとめちゃくちゃ肌が乾燥して悲惨なことになりました。このあたりの記事を参考にさせてもらってなんとか適応しています。

crispchips.hatenablog.com

10月

新学期が始まるのは9月末。あっという間に10月も過ぎ去っていきました。

10月にはLondon Cocktail Weekというイベントがあり、15£で共通のリストバンドを購入すると、イベントに参加しているバーで7£でカクテルを注文することができます。ロンドンのカクテル1杯あたりの平均価格は10~15£程度であることを考慮するとだいぶお得だと言えます。イベントに参加しているバーの中には、通常であれば1杯25£以上するバーもあり、そういう普段だと行きづらいバーにも気軽に行くことのできる良いイベントでした。

イベント期間に訪れたSoma Sohoというバー。雰囲気とカクテルが◎

余談3: 10月になってようやくコーヒー器具を揃えることができ、サブスクリプションでコーヒー豆も取り寄せてコーヒーを楽しんでいます。ただ日本国外でコーヒーを淹れる際に直面する大きな問題の1つが水の硬度です。コーヒーの抽出には軟水が適していると一般的に言われており、日本国内は一部地域を除いて軟水の割合が高い一方、イギリスは基本的に硬水の割合が高いです。硬水でコーヒーを淹れてみるとびっくりするくらい味が出ないため、ロンドンではスーパーから硬度の低い水を購入してコーヒーを淹れています。色々見た中で今のところベストなのはSainsbury'sのspring waterです。

https://www.sainsburys.co.uk/gol-ui/product/sainsburys-caledonian-still-water-4x2l

 

学業と関係ない話ばかりしていますがちゃんと授業に出て課題もこなしています。どういうトピックをやっているのかは別のエントリーに譲りたいと思います。

11月

11月。Reading WeekというTermの中休みがあり、その期間を利用して観劇したりジャズライブに行ったりしていました。

Her Majestic TheatreのThe Phantom of the Opera(開演前)。
West SideのLes Miserablesに次いで史上2番目のロングラン。

Clapham Junctionでやっていたジャズライブ。London Jazz Festivalの一環らしい。
舞台の中央にいるのがジャズ歌手で、なんと御年83歳。

東京に比べてロンドンは遊びの選択肢が多くないように感じています。コースメイトと遊ぶ際もパブに行くか、クラブや音楽イベントに行くか、ホームパーティーに行くくらい。ほんとはドライブとかしたいのですが、車を借りて1日どこかに行く時間をなかなか取れずにいます。

去る11月23日はThanksgiving dayで、コースメイトのアメリカ人の家に集まってパーティをやっていました。めっちゃご飯がおいしかったものの、食べ物の脂とワインの飲みすぎで胃がやられました。悲しい。

ホームパーティーの食べ物。僕はコーヒーを振る舞いました。

1月の頭にすべての授業の課題提出が控えており、12月中旬〜1月初旬は粛々と課題をこなす日々になりそうです。ノルウェーデンマークに旅行に行くけど。

ノルウェーデンマークにはもちろんコーヒーを飲むために行きます。その旅の様子等も12月のブログでご報告できればと。9月から11月の記録はここで締めくくらせてもらいます。

 

東大の成績証明書をめぐってUCLと揉めた件

はじめに

9月からUniversity College LondonのMSc Science, Technology and Society (以下UCL STS)に進学するやすくんと言います。東大の教養学部を卒業しています。

今回のポストでは東大の成績証明書をめぐってUCLとちょっと揉めた話について書いてみたいと思います。どうやらUCLだけでなくケンブリッジとか他のイギリスの大学に進学する方も同様のトラブルが起きていたようなので、今後進学を検討される方に向けて書き残します。

 

どういうトラブルだったか?

  • UCLは修士課程の入学ラインに'First-class degree' 'Upper Second-class degree'といった要件を設けている
  • 東大は学生の総合成績評価を出さないので、上記要件に該当する公式の資料が存在しない
  • UCLのアドミッションオフィスは提出しろと言うけれど、ないものはないので「そんなものはない」と繰り返し説得
  • GPAを自分で算出し、総合成績評価がないことを伝え、卒業証明書を提出して解決

トラブルの背景

イギリスの大学のグレーディングシステムは日本とだいぶ異なっているようで、生徒の成績に応じてDegree Classが分かれるようになっています。UCL STSは出願者にUpper Second-Class Degree以上のグレーディングを要求していました。

 

出典:Study in the UK "UK Grading System"
https://www.studying-in-uk.org/uk-grading-system/

僕はIELTSのスコアも足りていなかったので、最初はConditional Offer(条件付き合格)でした。ConditionalからUnconditional(無条件合格)に変わるには、次の条件を満たす必要があると言われました。

This offer is made on the condition that you provide documentary evidence, such as an official final transcript, to confirm the award of your degree with at least 50% of credits achieved at grade B or above as soon as you are able to.

(UCLの出願ポータルサイトからコピペしました。成績証明より先にIELTSの要件を満たしたので、IELTSに関する条件は削られています。)

僕は"to confirm the award of your degree with at least 50% of credits achieved at grade B or above"の部分を勘違いしていました。取得単位のうち半数以上がGrade B(東大で言えば「良」)を超えている成績証明書を提出すれば良いのだと思っていました。

最初にOfferをもらったときに"final transcript"(卒業時の成績証明書)を出せと言われていたこともあり、取得単位の9割がAかA+だった後期課程の成績証明書を出せば楽勝やろと思っていました。

しかし成績証明書では要件に合致していると認めてもらえませんでした。なぜなら、成績証明書は各授業の成績評価を示すものではあるけれども、僕の総合成績を示すものではなかったためです。"The award of your degree"というのは、教養学部における僕の総合成績のことだったのです。

 

(余談:東大の成績証明書にはひとつひとつの授業に対する成績評価と取得した総単位数が書かれています。東大はGPAを出しておらず、総じてどれくらいの成績を残したのかを示す公式の指標はありません。)

成績証明書をめぐるやり取りの経緯と解決方法

成績証明書を出願ポータルサイトにアップロードしてひと安心と思っていたところに、アドミッションオフィスから連絡が来て「これでは不十分だ」と言われました。

「たかだか成績証明書、ガタガタぬかすな」と某ラッパーのような気持ちになってブチギレメールを1通書いて送りましたが、さすがにまずかったかなと思って数日後にちゃんと説明するメールをアドミッションオフィスへ送りました。

その際、同様のトラブルに遭遇して解決してきた方々から色々情報をもらい、

  • 東大は公式にGPAを算出しておらず、学位全体の評価も出していないことの説明
  • フルブライトのHPの換算表で出した参考値のGPAについての説明

この2点についてめちゃくちゃ詳しく述べるメールをしたためました。

と同時に以下の対応もしました。

  • 推薦状を書いてくれた教授に一報を入れ、もし万が一自分で解決ができなかった場合にUCLのアドミッションオフィスに向けて一筆書いてもらえないか打診
  • 東大の教務課に問い合わせて本当に総合成績評価がないのか再確認

東大の教務課に問い合わせてみたところ、卒業後に発行された成績証明書(英文)のGrading Systemの欄に

Class rank and Grade Point Average shall not be calculated at the University of Tokyo.

という記載があることを教えてもらいました。恥ずかしながら見落としていました。

そうこうしているうちにアドミッションオフィスからメールが来ました。「取得学位について確認したいから卒業証明書を送ってくれ」とのことでした。

すぐに英文の卒業証明書を発行して、ポータルサイトにアップロードし、別途アドミッションオフィスにメールで連絡を入れました。その際、教務課の方から教えていただいた成績証明書の記載についても言及し、提出済みの成績証明書をもう一度確認してほしいとアドミッションオフィスにお願いしました。

その結果、翌日に出願ポータルが更新されて無条件合格になりました。めでたしめでたし。

さいごに

もう一度まとめると、

  • 総合成績評価を示す資料はないことをメールで説明
  • 自分で算出した参考値のGPAをメールに記載
  • 出願ポータルサイトにアップロードした成績証明書上の記述を再確認してもらう
  • 取得学位を示す卒業証明書をアップロード

という手順で解決しました。さらっと解決したように見えますが、UCLのアドミッションオフィスは死ぬほどレスが遅いので、トータルで1ヶ月くらいかかっています。9月から学期が始まり、7~8月にはビザの申請や住まい探しもあるので、成績証明が認めてもらえなくてかなりやきもきしました。無条件合格にならない限りビザの発給に進めないんですよね。そしてビザがないと家を押さえられないです。

 

この解決方法はあくまで一例です。僕の場合はこれで解決しましたが、教授に一筆書いてもらってようやく成績評価を認めてもらえたという方もいらっしゃいました。大学による気がするので、UCLの場合はこれで解決することもあるんだと思いながら見てもらえれば幸いです。

成績証明書をめぐるトラブルについて書いたブログはあまりないような気がするので、今後進学される方々の手助けになれば幸甚です。他に気になることがあれば僕のTwitterにDMを送っていただいても構いません。

(とはいえ答えられることは少ないでしょうが…)

一応Twitterアカウントを載せておきます↓

twitter.com

それでは。これからはたまにブログを動かしたい(n度目の決意)