やすくんのブログ

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東大の成績証明書をめぐってUCLと揉めた件

はじめに

9月からUniversity College LondonのMSc Science, Technology and Society (以下UCL STS)に進学するやすくんと言います。東大の教養学部を卒業しています。

今回のポストでは東大の成績証明書をめぐってUCLとちょっと揉めた話について書いてみたいと思います。どうやらUCLだけでなくケンブリッジとか他のイギリスの大学に進学する方も同様のトラブルが起きていたようなので、今後進学を検討される方に向けて書き残します。

 

どういうトラブルだったか?

  • UCLは修士課程の入学ラインに'First-class degree' 'Upper Second-class degree'といった要件を設けている
  • 東大は学生の総合成績評価を出さないので、上記要件に該当する公式の資料が存在しない
  • UCLのアドミッションオフィスは提出しろと言うけれど、ないものはないので「そんなものはない」と繰り返し説得
  • GPAを自分で算出し、総合成績評価がないことを伝え、卒業証明書を提出して解決

トラブルの背景

イギリスの大学のグレーディングシステムは日本とだいぶ異なっているようで、生徒の成績に応じてDegree Classが分かれるようになっています。UCL STSは出願者にUpper Second-Class Degree以上のグレーディングを要求していました。

 

出典:Study in the UK "UK Grading System"
https://www.studying-in-uk.org/uk-grading-system/

僕はIELTSのスコアも足りていなかったので、最初はConditional Offer(条件付き合格)でした。ConditionalからUnconditional(無条件合格)に変わるには、次の条件を満たす必要があると言われました。

This offer is made on the condition that you provide documentary evidence, such as an official final transcript, to confirm the award of your degree with at least 50% of credits achieved at grade B or above as soon as you are able to.

(UCLの出願ポータルサイトからコピペしました。成績証明より先にIELTSの要件を満たしたので、IELTSに関する条件は削られています。)

僕は"to confirm the award of your degree with at least 50% of credits achieved at grade B or above"の部分を勘違いしていました。取得単位のうち半数以上がGrade B(東大で言えば「良」)を超えている成績証明書を提出すれば良いのだと思っていました。

最初にOfferをもらったときに"final transcript"(卒業時の成績証明書)を出せと言われていたこともあり、取得単位の9割がAかA+だった後期課程の成績証明書を出せば楽勝やろと思っていました。

しかし成績証明書では要件に合致していると認めてもらえませんでした。なぜなら、成績証明書は各授業の成績評価を示すものではあるけれども、僕の総合成績を示すものではなかったためです。"The award of your degree"というのは、教養学部における僕の総合成績のことだったのです。

 

(余談:東大の成績証明書にはひとつひとつの授業に対する成績評価と取得した総単位数が書かれています。東大はGPAを出しておらず、総じてどれくらいの成績を残したのかを示す公式の指標はありません。)

成績証明書をめぐるやり取りの経緯と解決方法

成績証明書を出願ポータルサイトにアップロードしてひと安心と思っていたところに、アドミッションオフィスから連絡が来て「これでは不十分だ」と言われました。

「たかだか成績証明書、ガタガタぬかすな」と某ラッパーのような気持ちになってブチギレメールを1通書いて送りましたが、さすがにまずかったかなと思って数日後にちゃんと説明するメールをアドミッションオフィスへ送りました。

その際、同様のトラブルに遭遇して解決してきた方々から色々情報をもらい、

  • 東大は公式にGPAを算出しておらず、学位全体の評価も出していないことの説明
  • フルブライトのHPの換算表で出した参考値のGPAについての説明

この2点についてめちゃくちゃ詳しく述べるメールをしたためました。

と同時に以下の対応もしました。

  • 推薦状を書いてくれた教授に一報を入れ、もし万が一自分で解決ができなかった場合にUCLのアドミッションオフィスに向けて一筆書いてもらえないか打診
  • 東大の教務課に問い合わせて本当に総合成績評価がないのか再確認

東大の教務課に問い合わせてみたところ、卒業後に発行された成績証明書(英文)のGrading Systemの欄に

Class rank and Grade Point Average shall not be calculated at the University of Tokyo.

という記載があることを教えてもらいました。恥ずかしながら見落としていました。

そうこうしているうちにアドミッションオフィスからメールが来ました。「取得学位について確認したいから卒業証明書を送ってくれ」とのことでした。

すぐに英文の卒業証明書を発行して、ポータルサイトにアップロードし、別途アドミッションオフィスにメールで連絡を入れました。その際、教務課の方から教えていただいた成績証明書の記載についても言及し、提出済みの成績証明書をもう一度確認してほしいとアドミッションオフィスにお願いしました。

その結果、翌日に出願ポータルが更新されて無条件合格になりました。めでたしめでたし。

さいごに

もう一度まとめると、

  • 総合成績評価を示す資料はないことをメールで説明
  • 自分で算出した参考値のGPAをメールに記載
  • 出願ポータルサイトにアップロードした成績証明書上の記述を再確認してもらう
  • 取得学位を示す卒業証明書をアップロード

という手順で解決しました。さらっと解決したように見えますが、UCLのアドミッションオフィスは死ぬほどレスが遅いので、トータルで1ヶ月くらいかかっています。9月から学期が始まり、7~8月にはビザの申請や住まい探しもあるので、成績証明が認めてもらえなくてかなりやきもきしました。無条件合格にならない限りビザの発給に進めないんですよね。そしてビザがないと家を押さえられないです。

 

この解決方法はあくまで一例です。僕の場合はこれで解決しましたが、教授に一筆書いてもらってようやく成績評価を認めてもらえたという方もいらっしゃいました。大学による気がするので、UCLの場合はこれで解決することもあるんだと思いながら見てもらえれば幸いです。

成績証明書をめぐるトラブルについて書いたブログはあまりないような気がするので、今後進学される方々の手助けになれば幸甚です。他に気になることがあれば僕のTwitterにDMを送っていただいても構いません。

(とはいえ答えられることは少ないでしょうが…)

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それでは。これからはたまにブログを動かしたい(n度目の決意)